世界を舞台に活躍し、“サムライギタリスト”の異名を持つMIYAVIが12日、10月11日から13日にかけて、原宿・表参道エリアの都内3会場で開催されている『FENDER EXPERIENCE 2025』に登場した。「LIVE & TALK SESSION」に出演し、圧巻のパフォーマンスで会場を熱狂させた。 『FENDER EXPERIENCE 2025』では、ジャンルや世代を超えて活躍する注目のアーティストたちが出演。マスタービルダーへカスタムオーダーを行う公開オーダーイベント「MEET THE MASTER BUILDERS」や、自身の音楽人生やアーティスト・バンドとしての歩み、楽器へのこだわりや愛用モデルの魅力など様々なトピックについて語る、ディープな「TALK SESSION」、さらにライブパフォーマンスに加え、トークセッションも交えた「LIVE & TALK SESSION」など、ここでしか見ることができないFender Experience 2025ならではの特別なステージを展開する。 世界を舞台に活躍するMIYAVIは、開口一番、日本語、英語、そして中国語での挨拶を披露し、国際色豊かな来場者を歓迎した。近況について、最近は「日中間」「東アジア近辺」を行き来していると明かした。 トークセッションの冒頭、MIYAVIにとってギターとは何かという問いに対し、彼は自身の代名詞である「刀」だと答えた。彼は、ギターを始めた頃は、どこか世界に怯えており、ギターは自分を守るため、ある種攻撃するための武器だったと述懐した。しかし、時を経て、その哲学は変化しているという。「最近は変わってきたかな。守るためでもあるし、包み込むためでもある」。この変化に伴い、彼のプレイスタイルもまた変わってきていると語った。 現在、彼が愛用するギターは、彼の哲学を体現する特異な仕様を持つ。ベースはテレキャスターでありながら、ピックアップを3つ搭載し、ワーミーバーやサスティナーも組み込まれている。彼はこれを「テレキャスター警察から見たら即逮捕」されるほどの「邪道」なカスタマイズだと笑いながら紹介した。 この唯一無二のギターは、世界中を飛び回り、色んな国でギター1本で勝負するために「詰め込みたかった」理想の形だとMIYAVIは強調する。 そして、その理想を具現化させてくれたのがフェンダーというブランドだ。「王道のフェンダーが、ギターである種邪道なことをさせてくれる。それがすごく嬉しかった」と語る。歴史と伝統を持つフェンダーが、新しい試みを積極的に進めてくれることは、ギタリストとして本当に幸せなことだと感謝を述べた。 世界を飛び回るMIYAVIだが、最近は特にアジアの文化を強く意識しているという。中国語を学び、漢字という共通の文化的な要素を再認識し、韓国も含めたアジアの繋がりを感じている。 彼は、西洋楽器であるギターとは異なる、アジア各国の弦楽器の「弦が震える時の波動」について言及し、古代から人類が音を作ってきた根源的な文化の共通性について考察を巡らせた。また、暮らしている土地の文化はメロディにも影響するとし、特に中国やJ-POP、K-POPのメロディは、アメリカのメロディとは全く異なると指摘した。 今後の表現者としての目標を問われると、MIYAVIは「わからない」と回答。その理由として、今、模索している段階だが、世界がすごい速度で変わっており、特にAIの登場に「すごく脅威を感じている」と本音を漏らした。 産業革命レベルのビッグチェンジが起きている現代において、情報が溢れ、作られたものが増える中で、「俺たちは人生、世界どうなるんだろう」と不安を感じる。だからこそ、「自分は変わらずやっていきたいし、音楽って何ができるんだろう。面と向かって感じ合えるというのがすごく貴重になってくる」と心境を明かした。 これから楽器を始めようとする人々に向けて、MIYAVIは力強いメッセージを送った。「とにかく楽しんで、とにかく自由にやって欲しい」。強要ではなく、自分でやりたい、弾きたいという気持ちが最も大事だと強調。スケールや教則本にとらわれず、「本当に自由に楽しんでほしい」と、音楽への純粋な情熱を呼びかけた。 トークセッション後に行われたライブステージでは、「WHAT’S MY NAME?」、「Fire Bird」「No Sleep Till Tokyo」などを披露し、会場を熱狂させた。このライブを観たフェンダー・ミュージック株式会社代表取締役社長のエドワード・コール氏は「信じられない。素晴らしい」と大絶賛し、スペシャルライブの幕は閉じた。