カンボジアで発生した韓国人拉致・監禁事件に関連して、外交部・警察庁・国家情報院などが参加する韓国政府合同対応チームが15日、カンボジア現地に派遣される。団長は外交部の金珍我(キム・ジナ)第2次官が務める。国際捜査共助のため、国家捜査本部の朴星柱(パク・ソンジュ)本部長も対応チームの一員として同行して出国する。14日、李在明(イ・ジェミョン)大統領が主宰した国務会議で、これらの事項が決まったとキム・ナムジュン大統領室報道官が明らかにした。 こうした措置は、李大統領が会議の冒頭発言で「利用可能な資源を総動員して、迅速かつ正確、確実にこの問題に対応してほしい」と指示したことによるものだ。李大統領はまた、「(カンボジアで)逮捕された各国の人々が多いが、韓国も5〜6番目くらいに多いようだ。その数は少なくない」とし「関係部処はカンボジア政府との協議を通じて、治安当局間の常時的な協力体制の構築を急いでほしい」と要請した。この指示に基づき、韓国政府は同日、カンボジア政府と緊急に接触し、両国警察が参加する韓ーカンボジア・スキャム(詐欺)合同対応タスクフォース(TF)を構成することで合意した。 政府合同対応チームは、現地でカンボジア側の協力を引き出すための外交的努力を尽くす考えだ。特に朴本部長は、拘束された韓国人の送還、コリアンデスクの設置、警察官の追加派遣などを協議する予定だ。また、韓国警察庁主導で国際共助協議体を発足させ、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国で発生する韓国人拉致・監禁事件に対する合同作戦を展開する案についても話し合う考えだ。 喫緊の問題は、カンボジアで拘束されている韓国人被疑者の本国送還だ。韓国政府は彼らを送還した後、国内で迅速に捜査を進め、追加被害を防ぐ方針だ。韓国政府によると、14日基準でカンボジアで拘束されている韓国人被疑者は63人にのぼるという。しかし全員の送還は容易ではない状況だ。犯罪人引渡し条約があるにもかかわらず、カンボジア政府が非協力的であり、拘束されている韓国人被疑者の中にも帰国を拒む者が少なくないためだ。 さらに韓国政府は、カンボジア内の主要犯罪地域に対する渡航警報の引き上げを検討することにした。駐カンボジア大使館にも警察駐在官の増員を含めた人員補強を進める。韓国内では今月中に国民からの特別通報期間を設け、被害事例の漏れを最小化することを決めた。 前日に大統領室で開かれた、魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安保室長主宰のカンボジア犯罪TF会議では、カンボジア内の犯罪団地にいる韓国人の規模についても共有された。複数の政府関係者によると、国家情報院はその規模を1000人以上と報告した。ただし、これらの全員が犯罪に関与しているかどうかについては明確には把握されていないという。また外交部は、カンボジアに渡航後、安全が確認されていない韓国人は約80人にのぼると14日、明らかにした。さらに、カンボジアに入国後に連絡が途絶えるか、監禁されたという通報が入った韓国人の数は、今年1〜8月で330人で、昨年は220人だったと外交部は説明した。