トクリュウが半グレ拠点襲撃も失敗 34人検挙 背後に暴力団か

名古屋を拠点とし、トクリュウと呼ばれる匿名・流動型犯罪グループ「ブラックアウト」のメンバーら34人が、大阪府警に相次いで逮捕・書類送検された。 きっかけは今年4月、敵対する大阪の半グレグループを襲撃しようと、凶器を持って東大阪市のマンションに侵入したことだった。 襲撃は失敗に終わったが、グループ同士の抗争が発覚したことで捜査が本格化した。 ブラックアウトは2024年秋に結成。当初は10人ほどだったが、交流サイト(SNS)を通じて半年で100人ほどに膨れ上がったとされる。多くは20歳前後の若者で、中には高校生もいた。 トクリュウは秘匿性の高い通信アプリでメンバーが連絡を取り合い、特殊詐欺や窃盗などを繰り返しているとされる。24年の特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺の被害額は約2000億円に達するなど社会問題になっており、各地の警察が対策強化に乗り出している。 ◇首謀者の摘発、全体の1割 ただ、全国の警察が24年にトクリュウが関与した事件として摘発した1万105人のうち、首謀者や指示役らとみられる人物は1割にすぎない。 府警がブラックアウトの摘発に躍起になったのは、背後に暴力団の存在が見え隠れするからだ。 府警はブラックアウトの捜査に関連して今年7月、特定抗争指定暴力団「山口組」の中核組織・弘道会の傘下組織の三重県内の事務所を家宅捜索した。 ブラックアウト幹部が調べの中で「暴力団が後ろ盾になっていた」という趣旨の説明をしたという。 過去には大阪で別のトクリュウと暴力団の接点が確認されている。両者はトラブルを抱えた時に双方で協力し合う「用心棒関係」を築いていた。 府警はブラックアウトが犯罪で得た資金が暴力団に流れていた疑いがあるとみて、実態解明を進めている。 府警の捜査幹部は「半グレと呼ばれる粗暴な若者が暴力団の構成員になるケースは少なくない。トクリュウも放置していたら同じ道をたどる可能性がある」と危機感を強める。

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