川崎市川崎区の首都高速湾岸線で2020年8月、スポーツカー「ポルシェ」を時速200キロ以上で運転して追突事故で夫婦を死亡させたなどとして、自動車運転死傷処罰法違反(危険運転致死)の罪に問われた個人事業主、彦田嘉之被告(55)=東京都江戸川区=の裁判員裁判の初公判が25日、横浜地裁(足立勉裁判長)であった。被告は起訴内容を否認した。 検察は冒頭陳述で、制限速度80キロの区間を時速約200~268キロで運転し追い抜き行為を繰り返す中で、ハンドルを切った際に横滑りし「制御不能に陥った」と指摘。さらに「猛烈な高速度で走ること自体が他者の運転を妨害する目的だった」として危険運転致死罪が成立すると主張した。 被告は過失運転致傷容疑で逮捕され、危険運転致死罪の「妨害」類型が適用されて在宅起訴された。その後、同罪が認められなかった場合の「予備的訴因」として過失運転致死罪と危険運転致死罪の「制御困難高速度」類型が加えられた。 被告は「制御できず進行したことはない」と主張し、妨害目的の運転も否定した。弁護側は過失運転致死罪の成立にとどまると主張した。(加藤美帆)