福島県いわき市小名浜で2021年9月、同市小名浜字林ノ上、職業不詳の男性=当時(56)=が刺殺された事件で、いわき東署捜査本部は26日午前8時10分ごろ、殺人の疑いでいわき市平上荒川字長尾、暴力団組員で無職の男(61)を逮捕した。捜査本部によると、男が所属する暴力団と男性との間に何らかのトラブルがあったとみられ、捜査本部はほかにも事件に関与した人物がいるとみて捜査している。 逮捕容疑はほかの人物と共謀して21年9月4日午後9時40分ごろ、男性の自宅近くの貨物鉄道の線路上で男性の胸や腹を刃物で数回突き刺すなどし、殺害した疑い。捜査本部は捜査に支障があるとして、男の認否を明らかにしていない。 捜査本部は、男性を刃物で刺した実行役は男1人とみている。男性の遺体の傷痕などから凶器となった刃物は1種類とみられる。男性の死因は失血死だった。 捜査本部によると、男性と男は古くからの知人関係。男性は事件当時、暴力団には所属しておらず、男との間に個人的なトラブルは確認されていない。男性の職業については「マージャン店経営」とした。 捜査本部が暴力団関係者らを捜査する中で、事件当初から男ら数人が浮上していた。ただ、事件当時、現場周辺では大雨が降っていたことなどから現場に残った証拠が少なく、捜査は難航。関係者への聞き込みや防犯カメラの解析などを積み重ねたという。 事件発生の約7カ月前には同署管内の暴力団事務所に銃弾が撃ち込まれる事件が発生しており、捜査本部は殺人事件との関連を調べる。捜査本部は延べ3万9370人の捜査員を投入し、捜査していた。馬場孝二刑事部長は26日、同署で記者会見し「事件の全容解明に向けて捜査を進める」と述べた。