社説:南丹の遺体遺棄 11歳の命奪った真相究明を

どうか無事に、との住民の願いはかなわなかった。 南丹市園部町の山林で園部小の安達結希(ゆき)さん(11)の遺体が見つかった事件で、京都府警は父親(37)を死体遺棄容疑で逮捕した。容疑を認め、逮捕前には「首を絞めて殺した」と供述したという。 地元と警察、消防挙げての捜索となって約3週間。6年生の新学期を迎えるはずだった結希さんは、山中で野ざらしの遺体の状態で放置されていた。あまりのむごさに言葉を失う。 なぜ幼い命が失われたのか。救うことはできなかったのか。捜査を尽くし、全容解明を進めてもらいたい。 父親は当初、先月23日の朝に結希さんを車に乗せて学校敷地内まで送った後、行方が分からなくなったと説明していた。 だが、学校で結希さんの目撃はなく、防犯カメラにも映っていなかった。捜索は難航した。 府警は今回、父親のスマートフォンやカーナビの位置情報を分析し、広大な山林から遺体や、履いていたとみられる靴を見つけ出した。 遺体を市内の複数箇所に移動させた疑いがあるという。靴や、親族が発見した通学用かばんも、別々の山中で見つかった。不可解な点が多い。 結希さんは明るく活発な子で、友達も多かったという。学校の仲間たちは無事に戻ってくることを願い続けたが、最悪の結果となった。 新学期を迎えたばかりでもあり、児童の心のケアは急務だ。 同小はスクールカウンセラーを増員。京都府教育委員会からも緊急派遣した。 関係各所が連携し、小さな変調も見逃さないよう手を尽くしてほしい。 結希さんが行方不明になった日、学校は朝の時点で登校していないことを確認していた。しかし卒業式の準備で忙しく、正午近くまで親への確認連絡をしていなかった。 市教委は見守り態勢の不備を謝罪し、出欠確認の徹底を図った。他の自治体でも、学校ごとに点検してほしい。 親子の間で何が起こり、事件につながったのかは分かっていない。 父親は昨年、結希さんの母親と結婚し、養父となり同居していた。これまで府警へのトラブルの相談や、虐待の通報はなかったという。 子どもが犠牲となる事件が起きる度、さまざまな問題が浮かび上がってきた。冷静に課題を探り、社会で向き合い続ける中で、手だてを積み重ねる必要がある。 今回もSNS(交流サイト)上で犯人の憶測やデマが飛び交っている。 投稿に加え、そうした情報を拡散する行為も重大な人権侵害につながることを、利用者は自覚しなければならない。

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