社説:再審制度見直し 法案の欠陥を正さねば

冤罪(えんざい)被害者をより早く確実に救える法案になっていない。国会は、人生を奪う司法の過ちを正す改革にしなければならない。 裁判をやり直す再審制度見直しに向けた刑事訴訟法改正案を巡り、衆院での議論が山場を迎えている。 政府法案は、裁判所の再審開始決定に対する検察の不服申し立て(抗告)を維持する当初案が自民党内の事前審査で批判され、3度の修正で「原則禁止」として国会提出された。 だが、例外として「十分な根拠がある場合」に抗告できる余地を残した上、検察側が持つ証拠開示が新ルールで狭められるとの懸念が審議で浮き彫りになっている。 中道改革連合など野党側は、抗告の全面禁止案に加え、証拠開示を広げる政府案修正を要求している。与党内に今週内の採決論もあるが、「数の力」で衆院は押し通しても少数与党の参院での可決は見通せまい。 相次いだ冤罪被害の早期救済という目的を与野党が共有し、最善となる修正を図るべきだ。 国会審議では、例外の抗告を認める「十分な根拠」が問われた。あくまで検察の判断との法務省の説明に、従来と変わらず再審が引き延ばされると批判が相次いだ。 法務委員会の参考人として、静岡一家殺害事件で逮捕から58年かかって再審無罪となった袴田巌さんの姉ひで子さんは「抜け道のないように」と訴えた。 新たに制度化する証拠開示の在り方についても、政府案は、裁判所が検察に提出を命じる範囲を「再審請求理由に関する証拠」に限定しており、現行より狭く縛られるとの見方が強い。 再審開始には「無罪を言い渡すべき明らかな新証拠」の証明が必要だが、請求側が当初から十分な理由を示すのは難しく、審理の中で証拠が発掘された例は多い。 幅広い開示から真実に迫るべきだ。前提として、野党案が求める検察の証拠一覧表の開示も要る。 また、政府案が開示証拠を再審手続き以外で使うと罰則の対象とする「目的外使用禁止」を定めたのも認めがたい。 袴田さんの事件での「血痕付きの衣類」のように、再審支援者やマスコミと情報共有することで、問題解明や社会的な関心につなげてきた事実を軽視している。 政府・与党は法案修正に否定的だが、高市早苗首相は「反省をもとに改善を行う」とした提案説明に沿い、指導力を発揮すべきではないか。

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