6月に収穫最盛期を迎える甲府市特産品のトウモロコシ。しかし例年、この時期を狙った窃盗被害が後を絶たない。グループで行われたとみられる未解決事件もあり、山梨県警は警戒を強めている。 事件は2022年6月早朝、甲府市中道地区の畑で起きた。何者かがトウモロコシ約1000本(20万円相当)を窃盗。収穫直前の時期を狙ったかのような手口で、県警はグループによる犯行との見方を強め捜査しているものの、解決に至っていない。現場近くのトウモロコシ農家の女性(78)は「軽トラック1台分にもなる量。大切に育てたトウモロコシが盗まれるのは本当に悲しいし、悔しい」と話した。 甲府盆地の昼夜の寒暖差などが影響し、市内ではトウモロコシの生産が盛ん。特に、市南部の中道地区は、一面にトウモロコシ畑が広がる一大生産地だ。「ゴールドラッシュ」「ミルフィーユ」「きみひめ」などの品種があり、糖度が高く、大ぶりなのが特徴。東京など首都圏を中心に出荷され、5キロ3600~3800円で取引されるという。 南甲府署によると、トウモロコシの窃盗被害は近年相次いでいる。管内では24年に3件計50本の被害があった。また、同6月に笛吹市のトウモロコシ畑でゴールドラッシュ8本が盗まれた事件では、同署が甲府市の70代男性を窃盗容疑で逮捕した。地元農家によると、2~3本もぎ取られる被害は例年起きていて、被害届も出していないという。 事件抑止につなげようと、同署は23日、警察犬などを動員した大規模なパトロールを実施する。さらに、収穫期中はパトカーでの見回りを強化するなどして対応する。生活安全課の平山幸比佐課長は「農家の皆さんが丹精込めてつくったトウモロコシの窃盗事件を許してはならない」と力を込めた。【杉本修作】