裁判長「検察官としてあるまじき不正」事件から39年…福井・中学生殺害事件で再審無罪

39年前、福井市で女子中学生が殺害された事件のやり直し裁判で、名古屋高裁・金沢支部は18日、殺人罪に問われ服役した前川彰司さん(60)を無罪とする判決を言い渡しました。 ついに迎えた再審判決の日。 前川彰司さん 「朝5時過ぎに起きて、ラジオ体操いって。ただ、緊張感は高まってきて、今かなり緊張しています」 名古屋高裁・金沢支部 増田啓祐裁判長 「犯人であることが立証されているとは認められない」 言い渡された判決は、前川さんが訴え続けた無罪でした。 事件が起きたのは39年前です。福井市の市営団地の自宅で、女子中学生が50カ所以上を刺されて殺害されました。約1年後に逮捕されたのが当時21歳の前川さん。決め手は「服に血がついているのを見た」という複数の知人による証言でした。この証言の信用性が、今回の再審に至るまで争点となり続けます。 当時、1審の福井地裁では「信用できない」として無罪。しかし一転して、名古屋高裁・金沢支部は「信用できる」と逆転有罪の判決を言い渡します。その判決は確定しますが、服役を終えると裁判のやり直しを求めます。 その後、事態が大きく動いたのは、2度目の再審請求で検察が捜査資料など287点の証拠を開示したことでした。 弁護団の会見(去年10月) 「証拠を開示したところ『“夜のヒットスタジオ”の放送に関する日時に関する捜査報告書』が出てきました」 事件当日、前川さんを見たと証言していた複数の人物は、その同じ日の記憶として、テレビの音楽番組で見たあるシーンを挙げていました。しかし、その番組は事件当日ではなく、1週間後に放送されたものでした。有罪の決め手とされてきた目撃証言の信頼性が大きく揺らぎます。しかも、この明らかな矛盾を、検察側は当初から認識していたというのです。それでも一貫して有罪を主張してきた検察側に対し、裁判所は。

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