カンフー少林寺トップの「CEO住職」、ビジネス成功の横領金で複数愛人と生活か

中国伝統武術・カンフーで知られる同国河南省嵩山(すうざん)の名刹(めいさつ)、少林寺がスキャンダルに揺れている。ビジネス化で大きな利益を上げていた釈永信住職(59)の横領容疑と女性との「不適切な関係」について、当局が捜査を開始した。釈氏には複数の愛人がいるとされ、中国仏教界も僧侶の地位剥奪という厳しい措置に動いた。中国や欧米メディアが報じた。 少林寺は1500年以上の歴史があり、1982年に公開されたジェット・リー主演のカンフー映画「少林寺」で世界的に有名になった。 釈氏は81年に少林寺に入り、99年に住職の座に。経営学修士(MBA)を中国の僧侶として初めて取得し、iPhone(アイフォン)を手に世界中を回る「少林CEO(最高経営責任者)」として知られていた。少林寺のブランド力を生かし、世界中でカンフーショーを上演したり、漫画や映画、ゲームなどへのライセンス販売、不動産取引などを行ったりしており、米CNNテレビは「仏教寺院を商業帝国に変貌させた」と報じている。中国の立法機関である全国人民代表大会の代表も約20年間、務めた。 釈氏はこうして稼いだ金を横領し、愛人を養っていたとみられている。釈氏はかつて「僧侶も義務を果たし、社会に貢献したら褒美を受け取るのは当然」と話していた。中国では伝統的に僧侶は独身でいることを求められるという。新華社通信によると、中国仏教協会は28日、出家の証明にあたる「僧名」を剥奪するとともに、「釈氏は仏教の評判を著しく傷付け、僧侶のイメージを損ねた。法に従い処理する方針を断固として支持する」と声明を出した。 釈氏を巡っては10年以上前から横領などの疑いが浮上していたが、河南省は2017年、証拠不十分として一旦捜査を終了。再び告発を受けたことから当局が捜査を再開した。少林寺は27日にSNSで釈氏が長期間に渡って複数の女性と関係を持ち、少なくとも1人の隠し子がいると発表した。釈氏が数人の愛人や約20人の子供と米国へ逃げようとしたところ逮捕されたという情報も出回ったが、当局は否定している。

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