今年7月の参院選で、パチンコ業界団体の組織内候補を違法に当選させようとしたとして、パチンコ店運営会社の社長らが逮捕された。捜査関係者によると、社長らは従業員にこの候補への投票を呼びかけ、投票所で投票用紙を携帯電話で撮影させ、その写真をもとに実際に投票したかを判断していたケースもあったという。 そもそも投票所での写真撮影は許されるのだろうか。 「私はこの人に投票しました」。今回の参院選では、ある候補者名が書き込まれた投票用紙の写真とともに、そんなコメントがSNSに投稿された。多くが投票所で撮影したとみられる。 総務省によると、公職選挙法には投票所内での写真撮影を禁止する規定は明文化されていない。ただ、シャッター音が鳴れば周囲が不審に思う可能性があり、同法60条の「投票所の秩序をみだす者」とみなされる可能性があるという。 その場合は同条文で、投票管理者が「制止し、命に従わないときは投票所外に退出せしめることができる」と定めている。実際、投票所での写真撮影を断る自治体も少なくない。 高知市は市HPで「投票所内での撮影は、ご遠慮願います」と明記。担当者によると、他の有権者が写り込む可能性のある角度で投票所内を撮影する人に対しては「有権者の秘密保持を侵す危険がある」として、声をかけることがあるという。 しかし、ついたてに囲まれた「投票記載台」の中で自らの投票用紙を撮影されても、「何をしているのかわかりづらいので注意が難しい」と担当者は頭を悩ませる。 支持する候補者の名前を記した投票用紙をSNSにアップする行為はどうか。 一般に選挙運動とみなされるため、選挙運動期間の終わった投票日当日であれば違法性を問われる可能性もある。ただし、期日前投票の場での行為であれば選挙期間中であるため、必ずしも違法とはいえないという。(御船紗子)