川崎ストーカー殺人で警察「不十分・不適切な対応」認め謝罪する検証結果公表…3度の“つきまとい”幹部に報告せず

川崎市で年2025年4月、住宅の床下から岡﨑彩咲陽さん(当時20)の遺体が見つかり、住人で元交際相手の白井秀征被告(28)が殺人などの疑いで逮捕・起訴された事件で、神奈川県警は一連の対応についての検証結果をとりまとめ公表しました。 報告書では岡﨑さんが行方不明になる前の白井被告による一連のストーカー行為に対する警察の対応、行方不明後の初動捜査・発見活動について、いずれも「不十分・不適切な対応」と認定しました。 岡﨑さんは去年12月9日から20日の間に管轄する川崎臨港署に9回にわたって電話で相談していました。 このうち3回は白井被告が家の前をうろついているなどのつきまとい行為を訴えるもので安全を早急に確保する必要がある「人身安全関連事案」に該当します。 該当する事案については内容を記録化するよう内部規定で定められていますが、3回とも記録は残されていませんでした。 また電話を受けた当直の警察官はそれまで岡﨑さんとやりとりをしていた署の生活安全課の捜査員などに報告するのみで署長など幹部には報告せず、約4カ月後の2025年4月、岡﨑さんの父親らが臨港署を訪れ、岡﨑さんの携帯電話の通話履歴をもとに問い合わせて初めて署長に正式に報告が上がったということです。 また2024年12月22日、岡﨑さんが行方不明になり暮らしていた祖母の家の窓ガラスが割れた際、訪れた臨港署の捜査員は目視による確認しか行わず、写真撮影や指紋の採取は行わなかったうえ、「内側から外側に割れている可能性がある」「自分でいなくなった可能性がある」などと説明していました。 こうした対応について県警は「捜査の基本が徹底されていなかったと認められ、その後の捜査が遅滞する一因となった点を重く捉える必要がある」としています。 一方、構造的な問題としてストーカー事件などを扱う県警本部生活安全部の人身安全対策課と殺人事件などを扱う刑事部捜査一課との連携不足も問題としてあげられています。 岡﨑さんが失踪し窓ガラスが割られる事件があった2024年12月22日の時点で、臨港署から捜査一課にはストーカー関連事案としては報告されず、捜査一課から署に対して指導や助言は行われていませんでした。 捜査一課と人身安全対策課の情報共有は一切なく「連携の取り方が感覚・判断に委ねられる属人的・不安定な体制となっていた」と原因について述べています。 神奈川県警は「相談を受けていた女性が殺害されるという重大な結果が発生したことを重く受け止めるとともに、不適切な対応について深くお詫び申し上げる」と謝罪するとともに、今後の対策として、人身安全対策課と捜査一課の情報共有や連携に隙が生じないようにするため、参事官級の統括ポストを設置するほか、捜査一課に専従体制を構築するなどして組織一丸となって再発防止に取り組んでいくとしています。

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