【AFP=時事】エミー賞などの受賞歴のあるコメディー作家グレアム・リネハン被告(57)が4日、トランスジェンダーの人物に対する「侮辱的で報復的な」投稿をめぐる事件の被告人として、ウェストミンスター治安判事裁判所に出廷した。 リネハン被告は、器物損壊とトランスジェンダーのソフィア・ブルックス氏(18)への嫌がらせの罪で起訴されている。 ジュリア・フォール・ウォーカー検事は法廷で、リネハン被告はブルックス氏について「執拗(しつよう)に」オンラインに投稿しており、こうした行為は嫌がらせに当たると主張。 「投稿は不安や苦痛を引き起こすことを意図したもので、暴言と悪意に満ちており、リネハン被告のブルックス氏に対する強い嫌悪感を反映していた」と付け加えた。 リネハン被告は投稿の中で、ブルックス氏を「国内テロ」で告発し、「情緒不安定なソシオパス」「悪質なナルシスト」と呼んだ。 さらに、当時17歳だったブルックス氏について、「オンラインとオフラインの両方で、女性や男性同性愛者への数え切れないほどの嫌がらせの黒幕だった」とも主張した。 ウォーカー検事は、「これらの投稿は不快なばかりか、抑圧的で容認できないものだ」と述べた。 リネハン被告は会議の傍らで、撮影中だったブルックス氏の手から「携帯電話を故意にたたき落とした」こともあるという。 公判中ずっと腕を組んで座っていたリネハン被告は、起訴事実を否認している。 リネハン被告は数日前、別件のオンライン上でトランスジェンダーの人々を侮辱した疑いで逮捕され、英国における言論の自由をめぐる論争が再燃するきっかけとなった。 ロンドン警視庁は、米国からの便で到着した男を、X(旧ツイッター)への投稿に関連した暴力扇動の容疑で逮捕したと発表した。 リネハン被告は投稿の一つで、「トランスジェンダーを自認する男が女性専用スペースにいる場合、彼は暴力的かつ虐待的な行為を犯している」「騒ぎ立て、警察を呼び、それでも駄目なら彼に金的を食らわせてやればいい」と述べた。 リネハン被告は人気シチュエーションコメディー「ブラックブックス」と「ハイっ、こちらIT課!」の共同制作者でもあり、後者はエミー賞や英国アカデミー賞を受賞した。 同被告は最近、自身が執筆したエピソードがトランスフォビア(トランスジェンダー嫌悪)的だと批判されたことをきっかけに、生物学的な性別は変えられず、本人の意思で性別は決まらないと考えるジェンダークリティカル的な見解で知られるようになった。【翻訳編集】 AFPBB News