岐阜県飛驒市の古民家放火、保険金は7300万円 詐欺容疑で担当のエース調査員を再逮捕

元火災保険調査員が全国で保険金目的の放火を繰り返したとされる事件で、令和4年に岐阜県で起きた火災の原因について、当時調査員が在籍していた会社が調査を担当していたことが1日、関係者への取材で分かった。調査を踏まえ火災共済金など計約7300万円が支払われた。岐阜県警は同日、詐欺の疑いで元調査員ら3人を再逮捕し、調査の経緯などを調べている。 元調査員は深町優将(まさのぶ)容疑者(54)。当時、保険調査会社の最大手「損害保険リサーチ」(東京)に在籍し、「業界のエース」と呼ばれるほど火災保険に精通していたとされる。 再逮捕容疑は、稲葉寛容疑者(57)ら2人と共謀し、同県飛驒市の古民家に放火したにもかかわらず、それを隠し、令和4年9月に農業協同組合(JA)に火災共済金や見舞金などを請求。翌10月に現金約7300万円を振り込ませ、だまし取ったとしている。 県警によると、古民家は容疑者らが同年5月に約200万円で購入。建物と家財に限度額6500万円の火災共済をかけていた。古民家は同年8月に全焼した。 複数の関係者によると、この火災後、共済金の請求を受けたJAが火災原因などの調査を委託した先が損保リサーチで、深町容疑者とは別の調査員が担当。火災と判断され、共済金が支払われたという。 深町容疑者と稲葉容疑者はこれまでに岡山・青森の両県内でも同様に古民家を購入し、保険金目的で放火したなどとして逮捕・起訴。ただ、いずれも調査などで不審な点が見つかり、火災に対する共済金や保険金は支払われなかった。両県の火災は深町容疑者が損保リサーチを退職し独立した後に発生していた。 業界関係者によると、火災保険の設定額は建て替えに必要な金額を基準に算定され、購入額とかけ離れた設定は認めないことが一般的。火災が起きた場合にも改めて損害額を算定するという。(倉持亮)

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