(CNN) 米移民税関捜査局(ICE)の職員が26日午前、アイオワ州最大の学校区であるデモイン公立学校区の教育長を逮捕した。国土安全保障省が明らかにした。同教育長は不法滞在を疑われており、既に武器所持に関連して起訴もされていたという。 国土安全保障省とアイオワ州公安局の声明によると、イアン・ロバーツ容疑者は「標的型執行作戦」の一環として逮捕された。当初ICE職員が接近した際には逃走を図ったという。ロバーツ容疑者は教育者として数十年のキャリアを有し、かつては陸上競技のガイアナ代表として2000年のシドニー五輪に出場した経歴も持つ。 国土安全保障省は、ロバーツ容疑者が逮捕時に「実弾を込めた拳銃、現金3000ドル(約45万円)、固定刃の狩猟用ナイフを所持していた」と述べている。米国で合法的な滞在資格を持たない者が銃器と弾薬を所持することは連邦法違反となる。 CNNはロバーツ容疑者の弁護士の特定を進めている。 学校区と国土安全保障省は、ロバーツ容疑者について全く異なる見解を示した。国土安全保障省は同容疑者を「犯罪者の外国人」と表現し、公共の安全に対する脅威だと示唆した。これに対しデモイン公立学校区のジャッキー・ノリス理事長は、逮捕後の記者会見で、教育長としてロバーツ容疑者は「学校コミュニティーの不可欠な一員」であり、「生徒と職員のために大小さまざまな形で尽力してきた」と述べた。 この逮捕を受け、デモインの連邦裁判所前では抗議活動が起こった。CNN提携局KCCIの映像には「国外追放ではなく教育を/ロバーツ博士を解放せよ」と書かれたプラカードを掲げるデモ参加者が映っている。 ノリス氏によると、アイオワ州教育審査委員会は2023年7月にロバーツ容疑者に同州の教育長としての職務許可証を発行した。 「我々の知らない新たな情報が公開された。現時点でそれらの真偽を確認できていない」とノリス氏は述べた。 学校区のウェブサイトによると、ロバーツ容疑者はデモイン公立学校区で3万人以上の生徒を監督しており、以前は全米の公立学校で勤務していた。 学校区はソーシャルメディアに声明を投稿し、「私たちの最優先事項は、すべての生徒に安全で安心できる優れた教育を提供し、生徒、家族、そして職員を支援することだ」と述べた。 ロバーツ容疑者の逮捕は、トランプ政権による移民取り締まりが続く中で起きた。この取り締まりでは職場への家宅捜索や、消防士、ジャーナリスト、聖職者といった地域社会の担い手たちを対象にした逮捕が行われている。 国土安全保障省の声明によると、ロバーツ容疑者は1999年に学生ビザで米国に入国し、2024年5月に移民担当判事から最終退去命令を受けた。20年から銃器関連の容疑で起訴もされていたと、同省は付け加えた。 デモイン公立学校区は、退去命令については把握していないものの、ロバーツ容疑者は採用選考中に狩猟用ライフルに関連する銃器関連犯罪について教育委員会に報告していたと述べた。同学校区は声明で、ロバーツ容疑者は「採用選考を進めるのに十分な背景情報と状況説明を提供した」と述べた。 デモイン教育委員会は、27日に特別非公開会議を開き、今回の逮捕とロバーツ容疑者の学校区内での地位について話し合うとしている。