(CNN) 国連の新たな報告書は、ロシアが民間人や民間インフラをドローン(無人機)で攻撃し、人道に対する罪を犯したと非難している。また、人々の強制移送を通じて戦争犯罪を行っているとも糾弾している。 報告書の指摘によれば、ロシアとウクライナの戦争の最前線地域における民間人へのドローン攻撃は、人道に対する罪の中の殺人に該当する。報告書は国連が設置したウクライナでの状況を巡る独立委員会がまとめた。そこではロシアについて、民間人や民間の標的を攻撃することで戦争犯罪を行ったとも糾弾している。 報告書は地元当局の発言を引用し、2024年7月以降、ウクライナ南部のドニプロペトロウスク、ヘルソン、ミコライウの各州で200人以上の民間人が殺害されたと述べている。また同時期に、これらの地域で2000人以上の民間人が負傷したとしている。 戦争中、ロシアは民間人を標的にしたとする非難を繰り返し否定してきた。CNNは最新の国連報告書について、ロシア国防省にコメントを求めた。 国連報告書によると、委員会が調査したドローン攻撃は、民間人の住宅や病院、人道支援物資配給拠点、電力施設、学校などのインフラを定期的に標的としていた。これらの攻撃は「意図的であり、当該地域から民間人を追い出すための組織的政策の一環だ」と委員会は結論付けた。 攻撃により「住民の間に恐怖が広がり、市民生活は耐えられないものになった」と委員会は指摘。人々は攻撃が最も多かった地域から避難し、その結果一部の地域は「ほぼ完全に無人」になっている。 報告書によると移動が困難な人々、高齢者、介護者、そして避難する手段のない人々だけが残っているケースもあるという。 委員会は記録した犯罪について特定の個人を非難することはなかったが、全般的に「ロシア軍」もしくは「ロシア当局」の責任だとした。 CNNは、22年のロシアの本格侵攻以来、ウクライナの民間人に対するドローン攻撃が数え切れないほど行われていると報じている。 調査委員会は、ロシアが占領地域から民間人を不法に強制退去させるという戦争犯罪を行ったとも指摘した。これにはウクライナ南東部のザポリージャ州などが含まれる。 報告書によると、これらの強制退去は非常に短い通達期間で、あるいは全く予告なしに行われることが多い。そのため強制移送される前に荷物をまとめたり、家族と話をしたりする機会も与えられなかったという。 報告書は22年と23年に、多数の成人民間人がロシア占領下のザポリージャ州からウクライナの支配地域へ強制的に移送されたとしている。 委員会は調査の結果、人々が強制移送される前に「逮捕、勾留、時には拷問を含む様々な形態の暴力、捜索、そして書類や財産の没収」に遭っていたことが明らかになったとも述べた。 ロシア政府はかねて、ウクライナのロシア占領地域からウクライナの子どもたちを強制的に移送していると非難されてきた。これらの移送先は主にロシア国内となっている。