亡くなった竹内英明元兵庫県議=当時(50)=に対する名誉毀損(きそん)容疑で逮捕された政治団体「NHKから国民を守る党」党首、立花孝志容疑者(58)は、逮捕容疑以外にも斎藤元彦知事の疑惑告発文書問題に関する発信を繰り返した。その中には、別の県議や県職員とみられる人物から提供された情報が元となったものも含まれる。結果としてSNS上には真偽不明な情報が氾濫し、関係者への誹謗(ひぼう)中傷が相次いだ。 斎藤氏が再選された知事選後の昨年11月下旬、立花容疑者がユーチューブやX(旧ツイッター)に投稿したのは、斎藤氏の疑惑を告発した元県西播磨県民局長=昨年7月に死亡、当時(60)=の私的情報とされるデータ。インターネット上で拡散され、元局長への誹謗中傷が広がった。 データは元局長が公用パソコンに保存していたもので、県が告発者を特定する過程で回収していた。漏洩(ろうえい)の経緯などを調べるため、県が設置した弁護士でつくる第三者委員会は、今年5月に公表した報告書で「県職員によって漏洩された可能性が極めて高い」と指摘。立花容疑者は当時、情報提供自体が公益通報だと主張したが、公益通報には当たらないとした。 県は容疑者不詳のまま地方公務員法(守秘義務)違反罪の告発状を兵庫県警に提出したが、立花容疑者はその後、情報提供元だとして県職員の氏名や経緯を公表した。告発は県警が受理し、捜査が続いている。 ■「言った者勝ち許されない」 県議から立花容疑者への情報提供も相次いで発覚した。 文書問題を調べる県議会調査特別委員会(百条委)の委員だった増山誠県議は、知事選告示日の昨年10月31日、カラオケボックスで立花容疑者と面会。非公開で行われた百条委の証人尋問の音声データを提供した。 百条委の副委員長だった岸口実県議は翌11月1日、立花容疑者と面会。百条委委員だった竹内氏について、斎藤氏を陥れた「黒幕」などと記載された文書を提供した。立花容疑者は文書をSNSで公開。竹内氏への中傷被害を招いた。竹内氏は斎藤氏の再選後、県議を辞職。今年1月に亡くなった。 ほかに白井孝明県議も立花容疑者に電話で連絡を取っていた。3人は当時、日本維新の会に所属していたが除名や離党勧告処分となり、現在は地域政党「躍動の会」を立ち上げて活動している。増山氏は立花容疑者の逮捕について、「警察が逮捕したことをどうこういう立場にない。今後どうなるかはわからず、司法の判断だ」と述べた。