NHKは21日、都内の同局で会見を行い、27年度前期連続テレビ小説のタイトルが「巡(まわ)るスワン」に決まり、ヒロインを森田望智(もりた・みさと=29)が務めると発表した。生活安全課に勤める女性警察官の日常を描く。脚本はお笑い芸人のバカリズム(49)が担当。実在のモデルなどはいない完全オリジナル作品となる。 ◇ ◇ ◇ 森田がキャスティングでヒロインの座をつかんだ。抜てきは10日ほど前に知った。取材と聞いて向かった先で、サプライズで決定を告げられた。「本当にびっくりびっくりびっくりびっくり。開いた口がふさがらないと言いますか、顎(がく)関節症になるんじゃないかってくらい驚きました」。青天のへきれきをユーモアたっぷりに語った。 10代から何度もヒロインオーディションを受け、書類審査で落ちた。「ちょっと苦い思い出があって。ご縁のないものだと勝手に思ってました」。今作でも「なぜ私なのか。自分で言うのもなんですけど、特別キラキラしているわけでもなく、かわいいわけでもなく、才能に秀でているものもなく…」と不思議がった。 だが“どこにでもいそうな20代後半の女性”という役柄を知ると納得。生活安全課に勤める巡査長で、ごく普通の倫理観で業務をこなし、休日は友人とランチや買い物に行き、たまに愚痴をこぼしてストレス発散する。「すごく共感性のある主人公。これだったら私にものすごく近いかもしれない。そういうヒロインならキラキラしてなくてもできるんじゃないかなと思って」と謙遜を交えつつ、とびきりの笑顔を見せた。 朝ドラ出演は「おかえりモネ」「虎に翼」に続いて3作目。「清原果耶ちゃん、伊藤沙莉ちゃん、主演で先頭に立って頑張る同世代の女優さんたちを見てきた。尊敬と、怖さもありますし、彼女たちに負けないように頑張っていかなくては」と引き締める。 来年秋に撮影開始予定。現代の長野県が舞台で「方言がないらしく。そのままの言葉でいいんだなって」と安堵(あんど)も。「日常に溶け込む朝ドラになるのではないかなと思っています。朝起きて、歯磨きをして、服を着て。そういうルーティンの中に当たり前にあるけれど、なくてはならない、そんな朝ドラになったらいいな」。毎朝のひとときに、飾らない笑顔を届ける。【鎌田良美】 ◆森田望智(もりた・みさと)1996年(平8)9月13日、神奈川県生まれ。19年に配信されたNetflix「全裸監督」ヒロイン役で脚光を浴びた。Netflixでは24年の映画「シティーハンター」槇村香役でも話題に。23年5月、フジテレビ系「バイバイ、マイフレンド」で地上波連続ドラマ初主演。28日に「ナイトフラワー」、来年2月には「ほどなく、お別れです」と映画公開も控える。朝ドラは「おかえりモネ」「虎に翼」に出演。163センチ。血液型O。 ◆27年度前期連続テレビ小説「巡るスワン」 第116作の連続テレビ小説。長野県の諏訪湖周辺をイメージした架空の街・佐和市が舞台。タイトルの「巡る」は「お巡りさん」から、「スワン」は諏訪湖にある大きな白鳥の形をした遊覧船から取った。刑事ドラマを見て「自分も犯人を逮捕してみたい」と警察官を志した主人公は、事件が起こらないことが使命とされる生活安全課に配属される。防犯のため自作の演劇を披露したり、市民からの相談に乗ったり。地味な仕事に不満を感じつつもまじめに働き、やがて地域に信頼される存在になっていく。佐和署の生活安全課長となった主人公は、佐和湖に浮かぶ白鳥号を見つめながら思う。「今日も何も起こらなかったな」。どこにでもある日常を過ごす主人公が“何も起こらない日常を守る”道を見つけるまでのヒューマンコメディー。