「マジでしめる」「死にもの狂いで働いて金返せ」同居の幼馴染をSNSで脅迫した夫婦 その異様な手口とは

夫婦が男性をSNSで脅し金を払わせようとした事件。脅された男性はその後、自殺しました。裁判やスマホの記録から、この夫婦のいびつな関係が見えてきました。 《「仲良し」だった3人組が…こじれていく同居生活》 浦川将義さんは2022年11月、札幌の金井夫婦の家で同居を始めました。夫の金井凌被告と浦川さんは幼稚園からの幼馴染み。同じ家に住み、同じ職場で働き、当初は3人一緒に温泉旅行にもでかけています。しかし写真に書かれた「仲良し」の文字とは裏腹に、浦川さんへの執拗な追い込みが始まります。浦川さんのスマホには金井夫婦とのやり取りが残っています。 ■金井凌被告から浦川さんに送られたメッセージ「借りれるなら迷惑料込みで150(万円)、借りれるなら借りて返しな」「今俺らに嘘ついてる事全ていわないとマジでしめる」 さらにヤクザを名乗る神咲豊なる人物からも金を要求するメッセージが何度も届きます。 ■神咲豊から浦川さんに送られたメッセージ「明日からまた毎日、金は入金しろよ」「マサ、今月は死にものぐるいで働いて金返せ」 金井凌被告は位置情報のアプリで浦川さんがどこにいるのか監視し、それを職場の同僚に見せたりしていました。 ■浦河さんと金井凌被告の同僚「浦川君のGPSを見て、あいつ今どこにいる。どうだこうだと」「『あまり人を追い込むなよ』って言った」「(金井凌被告は)『むちゃくちゃ追い込んでやりますよ』みたいな感じで(話していた)」 起訴状などによりますと金井夫婦は2023年4月27日から5月18日までの間、浦川さんをSNSで26回にわたって怖がらせ、お金を脅し取ろうとした疑いが持たれています。 ■浦川さんの母親「かなりの金額を要求されて支払わないといけない状況に追い込まれた」「(派遣会社に)何社も登録して寝ないで仕事に行っていた」 請求されるのは迷惑料や家賃など。浦川さんは金井夫婦への支払いのため、複数の派遣会社に登録し、毎日休みなく平均1日14時間、働き続きます。 そして5月20日、浦川さんは空知の月形町のゴルフ場跡地に車を止め、車内で練炭を使い命を絶ちました。28歳でした。浦川さんはその直前、車を止めた場所の写真を添えて父親に「今までありがとう」とメッセージを送っていました。 ■浦川さんの父親「ゴルフハウスの前の駐車場に車停まっていた」「すぐ車の扉をあけて救命したけど、全然反応なかった」「もう青ざめた…息子がね亡くなるとは…つらかった…」 浦川さんのスマートフォンには遺書とみられるメモが残されていました。 ■遺書とみられるメモ「毎日金融とか誰かに金借りろの連絡」「そろそろ生きるのすら疲れたわ。最後の最後まで親不孝だったね今までありがとね」 ■浦川さんの母親「何も本当言わない子だったので一体何が起きたんだろうっていうことしか考えられない」「遺体の確認に行ってやっとなんか現実なんだ」 《夫婦と遺族との食い違い》 浦川さんの自殺から1年以上たった去年、金井凌被告と妻・里佳被告は浦川さんへの脅迫や恐喝未遂の疑いで逮捕・起訴されました。仲良く写真におさまる3人の仲が、なぜこじれていったのでしょうか? おととし2月ごろから浦川さんと金井夫婦の3人は地下鉄南北線北24条駅周辺で、共同でバーを開く計画を進めていました。しかし浦川さんは自身の体調を理由にバーの経営から辞退したいと伝えたといいます。遺族は、バーの開業を断ったことが恐喝行為のきっかけになったと話します。 ■浦川さんの母親「『やっぱりやめたい』と。そこから裏切り者みたいな感じで迷惑料だとか、そういうものを請求されていく経過があった」 一方、浦川さんに金の支払いを求めた里佳被告は自分たち夫婦を影で悪く言っていることに怒りが沸いたのが原因だとしています。 ■金井里佳被告「浦川君くんが(電話で)、騙しやすい夫婦だと話していた。主人の悪口も言っていた」 また家賃などの支払いについて遺族はSNS上のやり取りから「浦川さんは支払っていた」と話します。一方、里佳被告は家賃は初めの2か月以降は支払われず、携帯電話代なども合わせておよそ50万円を立て替えていたとしています。 《ヤクザを名乗る神咲の正体は…》 里佳被告は「ヤクザの神咲豊」という架空の人物を作り上げ、SNS上で浦川さんに金の支払いを何度も求めました。自らは浦川さんの健康などを気遣うメッセージを送る一方で、夫の凌被告には、神咲を名乗って浦川さんに金を支払わせろと指示を出していました。金井凌被告は、神咲という男が、妻の里佳被告が作った架空の人物だったことを逮捕されるまで知りませんでした。 《裁判の行方は》 これまでの裁判で、浦川さんを脅迫した罪については容疑を認めていますが、里佳被告とは共謀していないとして恐喝未遂については一部、否認しています。検察側は先月、凌被告に懲役2年を求刑しました。また里佳被告は「メッセージを送ったことは事実です。全て私がしたことです」と述べ、恐喝行為は認めていますが、金井被告との共謀については否認しています。4月21日に開かれた裁判で検察側は、里佳被告と金井被告は暗黙のうちに共謀を行っていたと指摘。浦川さんが肉体的精神的に追い詰められ、極限状態にあったことは容易に想像でき、里佳被告は主導的な役割を果たしたとして、懲役2年を求刑しました。一方、弁護側は里佳被告の犯行は計画的ではなかったと、執行猶予を求めました。裁判官から、最後に話したいことを問われると里佳被告は… ■金井里佳被告「このような事件を起こしてしまって、今は本当に申し訳ないと思っています」「もしチャンスがあるなら、このまま外の世界で働いて、この事件を胸に生きていきたい」 金井凌被告の判決は4月25日に、妻の里佳被告の判決は5月12日に言い渡される予定です。

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