古舘伊知郎トーキングブルース「時代の闘魂ビンタを食らわす」藤原喜明から本気のヘッドロック

古舘伊知郎(70)が、12月7日の東京・EXシアター六本木から全国5カ所で「古舘伊知郎トーキングブルース 2025」を開催する。来年1月に福岡、2月に名古屋、3月に大阪、横浜と“しゃべりの巡礼”に出る。テーマは「2025(ニセンニジュウゴ)」。今年2025年(令7)の1年間で、何を見て、何に怒り、何に笑ったのかを2時間半、ノンストップでしゃべりまくる。70歳、古希になった古舘に聞いてみた。【小谷野俊哉】 ◇ ◇ ◇ テレビ朝日の「ワールド・プロレスリング」の実況アナとして大ブレークして、1984年(昭59)に独立。4年前の「トーキングブルース」ではアントニオ猪木対ドリー・ファンクジュニアのNWA世界ヘビー級選手権試合の実況を講談調で演じた。 「プロレス好きだから、みなさんが言ってくれるのがうれしい。実況コーナー、ドリー対猪木をやっても、前編で終わったまんまだって。だから死ぬまでには、ちゃんと後編もね。神田伯山とまでは言わないけど、下手なから講談調でやってみたいと、いろいろ思っているんですけど。今回はスタンダップでやろうと思って。2025年に起きたこと、考えたこと、みんなが怒ったこと、そういうことをとにかく本当の切り口でね。いっぱいきれい事でごまかして、ウエルビーイングが何だとかね。何がレジリエンスだと、何がメディアリテラシーだと、いろんな言葉で言うじゃないですか。そういう言葉を切り口に、スタンダップ的に、今どきの善か悪かで決めてしまう。あの人、いい人、悪い人でそういうことを次々やろうと思っている」 今年の暮れへ向けて「トーキングブルース」のネタを作り始めている。 「今は型を作っているんですよ、スタッフと一緒に。ただ、やっぱり12月の段階では、今のネタをスタンドアップで本格的に恐れず言ってしまおうなんてやっていると、古くなっちゃうじゃないですか。賞味期限、切れちゃうじゃないですか。型を作って、今起きている、炎上していること、バズっていることとか、みんなが注目していることとかとかをね。そういうことで作っておいて、それを土壇場で、2カ月前ぐらいから差し替えなきゃいけない。そこは結構、苦しいですよね。面白いネタを作っても、これを使えないのかって」 次々に押し寄せる情報を整理にして、それをしゃべりのネタとして作り上げる。プロレス実況アナ時代は、自ら志願してプロレスラーに技をかけてもらった。 「俺はレスラーが加減してくれつつも、本気でダメージを食らうのが好きなんですよ。これ原体験が小学校3年の時に、うちのおやじが好きで、秋田犬を飼ってたんですよ。でっかいんですよ、秋田犬って。家の子供とかなめてるんですよ。主につきますから、家につかないんですよ。小屋の中に入って遊んでたんですよ、大きい秋田犬と。そしたら、なめられてるから、ガブッて額をかまれたんですよ。ツツツーッて鮮血がほとばしり出たんです。それがガラス窓に映ったんですよ、家の。シューッと鮮血が一筋、二筋、三筋流れたんです。完全に(元アジアタッグ王者)吉村道明なんですよ。めちゃくちゃ秋田犬に感謝したんだけど。『額にかみついてくれてありがとう』って。だから痛めつけられるのが好きなんですよ」 アントニオ猪木の用心棒を務めていた、新日本プロレス時代の“関節技の鬼”藤原喜明(76)には、プロレス技の基本とも言えるヘッドロックをかけてもらった。 「藤原喜明にヘッドロックやってもらって、1週間しびれが消えなかった。新日の道場で『本気でやってくれ』って言ったら『本当にやっていいのか、本当にやっちゃいますよ』って。だから、加減してやってるところで『一瞬でいいから』って言ったんですけど。10日間、ビーッビーッとしびれる。そういうの好きなんです」 アントニオ猪木は、求めたれると“闘魂ビンタ”を相手に食らわせた。1990年(平2)に「腹を殴らせてくれ」というリクエストに応えたことがきっかけで誕生した。 「闘魂ビンタの始まりはご存じだと思いますが、早稲田予備校の方ですからね。あの映像は、何回見ても楽しいですね。猪木さん、ひと間置くんですよ。優しいんですよ、素人だから。でも空手の覚えがあったじゃないですか、あの予備校生も。(猪木に対して)本当に正拳突きだったじゃないですか。その瞬間、待つんですよ。待った瞬間、思いっきりビンタが出て、もう転がっていった。最後、その彼に向かって『ごめんな』って何回も謝っている。『悪かったな』って。だけどね、やっぱりやらざるを得なかった。だから今回、僕は“時代の闘魂ビンタ”をやります」 「トーキングブルース」で“時代の闘魂ビンタ”をしゃべりで食らわす。 「2025年、今年は“時代の闘魂ビンタ”を108やります。スタンダップ形式で、ぜひ期待してください。俺が命じることじゃない、俺が言うことじゃないけど。“時代の闘魂ビンタ”をやります。今、みんなきれい事とか、上っ面で正論言ってますし、正義、原理主義も横行してますし、みんな炎上して私人逮捕みたいなことをやってますし、うるせえっつうんですよ」 (続く) ▼「古舘伊知郎トーキングブルース『2025』」 25年12月7日 東京・EXシアター六本木 26年1月18日 福岡・Zepp福岡 26年2月12日 愛知・Zepp名古屋 26年3月7日 大阪・Zeppなんば 26年3月20日 神奈川・Zepp横浜 ◆古舘伊知郎(ふるたち・いちろう)1954年(昭29)12月7日、東京都生まれ。立大卒業後の77にテレビ朝日入社。同8月からプロレス中継を担当。84年6月退社、フリーとなり「古舘プロジェクト」設立。85~90年(平2)フジテレビ系「夜のヒットスタジオDELUXE、SUPER」司会。89~94年フジテレビ系「F1グランプリ実況中継」。94~96年NHK「紅白歌合戦」司会。94~05年日本テレビ系「おしゃれカンケイ」司会。04~16年「報道ステーション」キャスター。現在、TBS系「ゴゴスマ」水曜日コメンテーターなど。血液型AB。

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