「なぜ警察官の盗撮は後を絶たないのか?」元刑事と臨床家が語る 秋山博康×斉藤章佳対談

『元刑事が国民全員に伝えたい シン・防犯対策図鑑』で犯罪の現場から防犯のあり方を問い続ける“リーゼント刑事”こと秋山博康氏と、『夫が痴漢で逮捕されました 性犯罪と「加害者家族」』で性犯罪と家族の苦悩を描いた斉藤章佳氏が、子どもを性犯罪の被害者にも加害者にもしないために、社会や家庭でできる事を見据え、本音で語り合った。 * * * ■職務で感覚がマヒ。盗撮をやめられない警察官たち 斉藤章佳(以下、斉藤):警察官による盗撮のニュースが後を絶ちません。 警察庁によると、統計が残っている2014年以降、全国で毎年20人前後の警察官と警察職員が盗撮などの性加害で懲戒処分を受け、その人数は2020年までの7年間で計148人に上っているそうです。 榎本クリニックの性犯罪加害者の再犯防止プログラムにも、職務中に性加害に及んだ元警察官がこれまで25名ほど受診しています。彼らは懲戒免職になった後、元警察官として家族の勧めで来院しているのですが、その多くが盗撮事件なんです。 秋山博康(以下、秋山):本来犯罪を取り締まるはずの警察官が盗撮とは、警察OBとして怒りを覚えるわ。 斉藤:盗撮する理由を彼らからヒアリングすると、大きくふたつの答えが出てきます。 ひとつは、警察になるための訓練や職務で尾行や撮影を日常的に行うため、自己正当化しやすく、感覚が「マヒ」すること。もうひとつは、警察官は指紋を登録しているから、痴漢のように相手に直接触れるタイプの性加害ではなく、「非接触型」の盗撮を選ぶ……というものです。 秋山:たしかにな。一般の人にとっては、事件現場なんて非日常的な場所や。けど警察官は毎日その事件現場で職務を全うしてる。警察官の中には、感覚がマヒして「ここで何してもバレへんやろ」と甘い考えが生まれてしまう人がいるのも大いに考えられる。 斉藤:環境や認知の歪みへの「慣れ」については、教員の盗撮も同じことが言えるかもしれません。 秋山:職場では真面目で家族思いの警官でも、性加害は起こす。逆にろくに仕事しないやつは、不祥事を起こさなかったりする。 火災の出火原因を調査する担当の警部が、火災現場で繰り返し現金を盗む……なんてとんでもない事件もあった。これも慣れや感覚のマヒが犯行を誘発するという意味では、構造は同じや。

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