神戸刺殺 オートロック「共連れ」で突破 被害女性はエレベーターまで気づかなかったか

神戸市中央区のマンションで住人の女性会社員が刺殺された事件では、防犯設備としてのオートロックの限界が改めて露呈した。殺人容疑で逮捕された谷本将志容疑者(35)とみられる男は、帰宅する被害女性の後を追い、現場マンションのオートロック式の自動扉が閉まる直前に敷地内に侵入。居住者が入るタイミングに合わせた「共連れ(ともづれ)」と呼ばれる手口で、後をつけられているのに気づかなければ、防ぐのは難しい。 捜査関係者などによると、現場マンションのエントランス部にあるオートロック式自動扉の開閉時間は十数秒間。そこから通路を左に折れたところにエレベーターホールがある。防犯カメラには、死亡した片山恵さん(24)の後から、谷本容疑者とみられる男が共連れの手口で自動扉をすり抜ける様子が写り、片山さんはそれに気づいていないようだったという。その後、同じエレベーターに乗り込まれ、襲われたとみられる。 オートロックをすり抜ける手口は、今回のような共連れのほか、住人が外に出るタイミングを狙って敷地内に入る「入れ違え」などがある。 ■防犯専門家「対策は多層的に」 元埼玉県警捜査1課刑事で防犯アドバイザーの佐々木成三(なるみ)氏は「絶対に大丈夫という防犯対策はない」と指摘する。そのうえで、マンションへ入る際に周囲を見渡す▽後ろをついてくる不審者がいたら、自宅には入らず、人が多い場所へ移動する▽エレベーターでは2人きりの状況を避ける▽2人きりになったら次の階で降りる-といった対策を複合的に行うのが有効だという。 佐々木氏は「防犯にやりすぎはない。複数の対策を多層的に組み合わせ、高い防犯意識を持つことが大切だ」と話している。

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