出前館の配達員不正登録、オンライン完結の「気軽さ」悪用か 本人確認など対策強化が必要

新型コロナウイルス禍などで利用が拡大した食事宅配サービス大手で、就労資格のない外国人が配達員として働いていたことが15日、警視庁の捜査で明らかになった。一般的な雇用契約ではなく、業務委託契約で働く配達員に対し、事業者側は面接による本人確認などは行っていない。オンラインで登録が完結し、すぐに働ける「気軽さ」を売りに人手を確保してきたが、悪用を受けて対策の強化が求められている。 今回、不正登録が明らかになった「出前館」では、配達員はウェブサイトでメールアドレスを登録した後、オンライン上で本人確認書類を提出し、研修動画を視聴して勤務が可能になる仕組み。同社によると、本人確認書類は、顔認証システム「eKYC」を利用して本物かどうかの「真がん判定」をしているという。 今回、詐欺などの容疑で逮捕された山崎光太郎容疑者らは、実在する日本人の身分情報を用いることでこの本人確認を通過。実際には、就労資格のない外国人に取得したアカウントを割り当てる手口で、配達員の不正登録を繰り返していたとみられる。 出前館は産経新聞の取材に、こうした事案について「令和6年1月に認識した」と説明。アカウントの不正登録と使用を防ぐため、同年12月、配達員が勤務時に使うアプリの仕様を変更し、登録した本人が実際に稼働しているかを確認する顔認証システムを導入したという。このほか、アプリにアカウントの貸し借り禁止を呼びかける文言を追加するなど、対策を進めているとした。

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